昔、あるEC通販の会社にいた時に、よく会議でこんなやりとりを聞きました
営業「売上が前期より落ちているから、値引きして売上を回復したい」
管理「値引きをしたら利益が減ってしまうだろう!」
営業「違う、売上が増えるから利益が増えるんだよ!」
どちら側も正しいのですが、議論をする上で欠けているものが1つあります
今、利益率は何%か?
ということです
実はこの手の議論でよく勘違いされていることがあります
「5%利益率を減らしても、5%売上を増加すれば前と同じ利益が確保できる」
これは間違いです。値引きをした分、売上を増やせばいいというのはかなり乱暴な考えです
値引した時に、前と同じ利益を確保するために、どれくらい売上を増やせばいいかは、「今、利益率は何%か?」によります
以下の表を見てください!この表をもとに2つのケース(①②)を見て見ましょう!
➀値引きをしたら売上を増やしても意味が無くなるケース
売上が100として、利益が10の場合、利益率は10%です
では、利益率が10%の時に、10%値引したらどうなるか?
利益率が上の表でいえば、利益率が10%の行の下、0%になり、いくら売上を増やしても利益は出ません!
➁値引きをしたら途方もないぐらい売上を増やさねければなくなるケース
では、利益率が20%の時に10%値引きして、利益率を10%にした場合はどうか?
値引き前は利益は20です
売上が値引き後もそのまま100の場合、値引き後の利益額は10です
つまり、売上を2倍にしないと、値引き前の利益を確保できません
今、➀と②の2つのケースを見ましたが、2つとも実は以下の数式で表すことができます
値引時・必要売上増加率=値引き前・利益率 ÷ 値引き後・利益率
試しに➀と②を上記の数式に当てはめてみましょう
➀の場合、分母が0なのでエラーになります
➁の場合、20%÷10%になり、回答は2になります
どうでしょう?
この数式で値引き時の必要増加率を計算できる、ということはよくご理解頂けたと思います
そして、この数式では「今、利益率は何%か?」が分子になっています
とにかく、値引きを考える上では「今、利益率は何%か?」を把握しておくことが重要なのです
では、次に、この必要増加率を計算する数式を、もっと会議で有効に活用する方法を紹介したいと思います
これは、値引き時の必要増加率の早見表を事前に作成しておくことです
例えば、表の一番左上に11%という数字がありますが、これは利益率が100%の時に値引きを10%した場合、売上を11%増やさないと値引き前の利益額を確保できないよ、ということです
この表を作成しておけば、冒頭に紹介したような無駄なやりとりをせずに現実的な値引政策を決定していくことが可能になります
ちなみに、この表を見て気づくことがありませんか?
利益率が高いほど、必要売上増加率は低く済むのです
つまり、戦略の自由度が高いのです
ですから、なるべく利益率は高く保てるよう、早見表を有効活用して値引きの無駄な乱発はなくしていきましょう!
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